
「プロ野球の自由契約と任意引退の違いを知りたい!」
「結局、クビなのに呼び方が違うのはなぜ?
戦力外通告と同じ意味なの?」
このような疑問にお答えします。
- 自由契約と任意引退
- 戦力外になった後は?
自由契約と任意引退

自由契約と任意引退の違いは?
自由契約と任意引退の違いは自由に他球団と交渉できるかどうかです。
- 自由契約 … あらゆる球団と交渉できる
- 任意引退 … 他球団と交渉できない(直前に所属していた球団が保有権を有する)
自由契約となった選手は国内の球団(プロ、アマ)や海外球団との交渉が可能です。
任意引退となった選手は直前に所属していた球団がその選手の保有権を有することになります。
その球団が所有権を放棄しないと他球団と交渉することができません。
自由契約とは?
自由契約の選手は、どの球団とでも自由に契約交渉ができる文字通りフリーの状態です。
プロ野球の球団に所属している選手は契約を締結して支配下選手として登録されます。
支配下選手になるとその球団が選手を保有権を持つため、契約期間中は移籍交渉を行う事はできません。
自由契約選手はどの球団とでも自由に交渉できるのですが、契約してくれる球団探しに苦労する事が多くあります。
自由契約になった選手の多くは来シーズンの球団の戦力とならないと判断された場合が多いのです。
そのためトライアウトなどを受け自分の実力を示さないと契約に至らないケースが多いのです。
過去にはメジャーに挑戦したいという選手の希望を球団が了承して自由契約になった例もあります。
任意引退とは?
任意引退になった選手は保有権が所属していた球団にあるため自由に他球団へ移籍することができません。
なぜ、引退後も移籍できないようにする必要があるのでしょうか。
これは引退をするふりをして、他球団との契約を阻止するためのものです。
引退後の保有権が前所属球団に残らない場合は、下記のようなことが起こるかもしれません。
↓
今、契約をしている球団には怪我を理由に引退を申し出る(実は大丈夫)
↓
球団は仕方なく引退を認める
↓
契約がなくなり自由になる
↓
移籍したい球団と契約
このように嘘の怪我を理由に引退を申し出て、「怪我が完治しましたぁ~」と他球団との契約を防止する意味もあります。
自分から引退しますと言う場合、円満に引退する意思表示として任意引退を選ぶ選手もいます。
任意引退選手は日本プロ野球機構のサイトに公示されます。2019年5月には、上原浩治選手が任意引退選手として公示されました。
任意引退→自由契約への変更
先程も書きましたが任意引退を選択した場合、選手の保有権は球団に残るためメジャーリーグ、アマチュア含めた他の球団に移籍できません。
これはずっと続きます。10年後も20年後も。
日本プロ野球機構のサイトに任意引退と同じように自由契約の選手も公示されます。
その中に「任意引退選手公示抹消」と書かれている選手がいます。
任意引退選手として選手契約を終えた選手が「任意引退→自由契約」の変更を申し出て球団が了承したと言う意味です。
引退してから数年後に指導者として他の球団に所属する場合にはこの手続きが必要となります。もちろん現役選手として復帰する場合もです。
これはプロの球団だけでなくアマチュアのチームの指導者になる場合も必要な手続きです。
所属していた球団の監督やコーチなどの指導者、スコアラーやスカウトなどのスタッフに就任することが決定している場合にも任意引退選手となる場合があります。
貴重な人材が他球団と交渉を行う事を避けたり戦力外というネガティブなイメージを払拭する配慮から任意引退選手として扱うケースもあります。
TVで有名な戦力外通告とは?
戦力外通告とは、球団が来シーズンの構想外となった選手に対して契約の更新をしないことを伝える
ちなみにサッカーの場合は戦力外通告とは言わず「ゼロ円提示」という言葉が使われます。来シーズンは契約しませんという意味です。
プロ野球の1球団が保有できる支配下登録選手は最大70人です。
翌シーズンの為の戦力補強として、新人選手、他球団からの移籍選手(FA移籍も含む)、新外国人選手の獲得などで新たな選手が入団すればその人数分を登録から外さなければなりません。
そのために成績が悪かった選手は戦力外の通告をされます。
戦力外になった選手はどうする

戦力外通告の通達期間
戦力外通告通告は2回に分けて行われます。第1次通告期間と第2次通告期間の2回です。
- 第1次通告期間 10/1~両リーグのレギュラーシーズン終了の翌日まで
- 第2次通告期間 CS全日程終了翌日~日本シリーズ終了翌日まで
※日本シリーズに出場した球団は日本シリーズ終了の5日後まで
トライアウト
11月の中旬ごろ12球団合同でトライアウトが行われます。自由契約になった選手が集まりシート打撃方式で投手と野手が対戦します。
そのシート打撃を各球団のスタッフがチェックをして戦力になりそうな選手を探します。
12球団のスタッフだけでなく、海外チームのスタッフ、独立リーグ、社会人野球のチームから声がかかることもあります。
選手は翌年の契約を11月末日までに結びます。12/1時点で契約が結ばれない選手が戦力外になった選手です。
どの球団からもオファーがなければ引退になります。(浪人という形でトレーニングを続ける選手もいます)
引退後の再就職は厳しい?
プロ野球選手の現役生活は平均7~8年程度です。
コーチや球団スタッフ、解説者として野球に携われるのはごく一部の人だけです。近年はテレビの野球中継が減っているので解説者は特に狭き門です。
引退後に一般企業に勤めても馴染めないケースが多いようです。
子供のころから野球ばかりをやってきた人がいきなり畑違いの所で働くのは難しいのでしょう。
現役時代の金銭感覚を一般の人に感覚に戻すのが難しいという事もあるようです。